OLYMPUS PENシリーズとシネレンズ
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最終更新日:2019/10/31
カメラ
OLYMPUS(オリンパス)とPanasonic(パナソニック)のミラーレス一眼カメラは、マイクロフォーサーズという規格のやや小型のセンサーを採用しています。
単純に画質の面から言えば、センサーが大きい方が有利です。
しかし、センサーが大きくなれば、必然的にカメラもレンズも大きく重くなります。
そして価格が高くなります。
つまり使用する人によっては小さい事がメリットになる場合もあります。
さらにセンサーサイズが小さいおかげで、マウントアダプターを使用して古い16mmフイルムムービーカメラ用のレンズを現代に蘇らせる事も出来る様になりました。
今回はOLYMPUS PENシリーズでシネレンズを楽しむという、ややマニアックな内容をお届けします。
シネレンズとは?
映画撮影用の16mmムービーカメラに使用されていたレンズを「シネレンズ」と呼びます。
(http://xylocopal2.exblog.jp/d2008-06-19/)
一般的にCマウントと呼ばれる、ねじ込み式のマウント方式を採用しています。
センサーサイズが小さめのレンズ交換式カメラが普及する前までは、これらのシネレンズはあまり価値が無く、安価で取引されていました。
ところがOLYMPUSとPasonicが2008年にマイクロフォーサーズ規格を策定し、Panasonicから「LUMIX DMC-G1」が、次いでOLYMPUSから「PEN E-P1」が発売された事から状況が一変しました。
今では、マイクロフォーサーズ機でシネレンズを使用するというのは定番になっています。
なぜマイクロフォーサーズ機?
16mmフイルムの1コマのサイズはおよそ10.2mm×7.4mmとなります。レンズにはイメージサークルというものがあって、きちんと写せる範囲が決まっています。
16mmムービーカメラ用のレンズであれば、10.2mm×7.4mmの範囲が写せるイメージサークルを持っていれば良いということになります。
対して、一般的な一眼レフカメラのセンサーサイズであるAPS-Cの大きさは23.6mm×15.8mmとなり、シネレンズのイメージサークルでは全然足りない事になります。これでは通常の使い方は出来ません。
ところがマイクロフォーサーズ規格のセンサーサイズは17.3mm×13.8mmなので、ぎりぎりではありますが、シネレンズでの写真撮影や動画撮影が可能になるのです。
画質面ではデメリットになる小さなセンサーサイズが功を奏して、シネレンズで撮影するという楽しみが生まれました。
もちろんそのままではカメラに装着する事は出来ませんので、Cマウントのレンズを装着出来る様にする「マウントアダプター」と言うものが市販されています。
このマウントアダプターを経由してマイクロフォーサーズ機にCマウントレンズを装着します。
どんなレンズを選べば良いか
Cマウントのシネレンズといえば、スイスのケルンやフランスのアンジュニューなどいくつかの定番メーカーがありますが、人気のレンズはそれなりの価格がします。(それでも一眼レフカメラ用の高級レンズに比べれば安いですが。)
お気に入りの1本を見つける為に、まずはチェックするポイントを確認していきましょう。
焦点距離
まずレンズの焦点距離ですが(一眼レフなら35mmとか18-55mmとかのあれです)、マイクロフォーサーズ機であれば、35ミリ換算で約2倍となります。
35ミリ換算とは、”フイルムカメラの場合はこのくらいの焦点距離になります”、という事です。
つまり、フィルムカメラで50mmが標準の焦点距離だとすれば、マイクロフォーサーズ機では焦点距離が「25mm」と表示されているレンズで撮影すれば、標準の焦点距離になるという事になります。
初めてのシネレンズは25mm前後のものにすれば、使いやすいでしょう。
イメージサークル
先程、イメージサークルに関して少し触れましたが、基本的に焦点距離が長くなる程、イメージサークルは大きくなります。
また、レンズによってもイメージサークルの大きさは変わります。上記の様に、マイクロフォーサーズと言えども、16mmフイルムよりは大きいのでなるべくイメージサークルの大きなレンズを選ぶと良いでしょう。
周辺減光、ケラレ
イメージサークルに関係した現象として、周辺減光とケラレがあります。
周辺減光とは撮影した時に、写真の端がやや暗く写る事をさします。これはイメージサークルが小さい事に起因します。
さらにイメージサークルが小さくなると、だんだん、端が撮影出来ずに黒くなってきます。これをケラレと言い、「ケラレが出る」とか「ケラレる」などの表現がシネレンズの説明などに良く出てきます。
本来は良くない現象ではありますが、それを逆に「味」としてとらえて、レトロな表現を楽しむのが、シネレンズの醍醐味です。
グルグルボケ
こちらもイメージサークルが小さい事で起こります。本来は使用しないはずだったレンズの周辺部分も撮影で使うために、周辺の「ボケ」が流れて、グルグルと動いている様に写ります。これを俗に「グルグルボケ」と呼びます。
クセのある写りにはなりますが、はまるとインパクトのある、シネレンズで無ければ撮れない写真が撮影出来ます。
グルグルボケが出易いレンズと、出にくいレンズがあります。
F値(開放F値)
F値とは明るさを指す数値で、レンズを選ぶ際は絞り開放でのF値を参考にします。
「25mm F1.4」とあれば、焦点距離が25mmで開放F値が1.4であるという意味になります。
数字が小さくなる程、たくさん光を集められる明るいレンズという事になります。明るいレンズが多いのもシネレンズの特徴です。
シネレンズ、初めの1本は焦点距離が25mmでイメージサークルの大きなものを選ぶと良いでしょう。
マウント部分とレンズ鏡筒部分の差を良く見て、あまり鏡筒が太くないものを選ばないと、マウントアダプターに干渉して、装着出来ない場合があります。
実際に試してみるのが一番良いですが、通販などを利用する場合は、「イメージサークルは大きめです。」や「マイクロフォーサーズで使用出来ます。」と言った説明がされているものを選べば失敗は少ないと思います。
また、シネレンズの中にはヘリコイドが無いものもあります。(ヘリコイドとはレンズを前後させてピントを調節する機能です。)
初めはヘリコイドの有るモデルを選びましょう。
まとめ
マイクロフォーサーズ機にはメーカー純正の素晴らしいレンズが多数用意されていますので、それらを使用して満足の行く撮影をされている方には、興味のわかない話だったかも知れません。
オートフォーカスも出来ない古いレンズをわざわざ利用する理由は特に無いとも言えます。
ただ、マウントアダプターを経由して、50年前のレンズが蘇るという事に、興奮を覚えるという方も少なからずいらっしゃると思います。
この記事をご覧になって、興味を持たれたのであれば、是非デジタルとアナログが同居した世界を体験してみてください。
(ただし、使用方法によってはカメラを破損してしまう可能性もありますので、十分な下調べをしてからご利用ください。)
(出展元:http://fotoborse.blog.jp/)
おまけ
憧れのマクロスイター
Kern Macro Switar 26mm F1.1というシネレンズがあります。接近撮影での被写界深度の浅い写りは、まさにこのレンズでなければ撮影出来ないと感じさせるものです。
「Macro Switar 26mm F1.1」などで検索して、その作例をご覧になってください。
担当:鬼山
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